「半年で自動失効」は誤解:古物営業法6条の取消しリスクと回避策

中古品の買取や委託販売、ネットでのリユース販売を始めるにあたって、「古物商許可は取得から半年以内に営業の実態がなければ自動で失効する」という情報を見かけることがあります。
しかし、実際には“自動失効”ではありません。
本コラムでは、古物営業法第6条が定める「取消し」の仕組みをやさしく解説し、どのようなときに取消しの対象となり得るのか、また取消しを避けるための具体的な対策と証跡づくりのコツまで、初めての方にも分かりやすくまとめます。
「古物」「古物商」とは/法人で許可が必要なケース
「古物」とは、一度使用された物、未使用でも“使用のために取引”された物、これらに簡単な手入れをした物をいいます。これらを反復継続して売買・交換(委託販売を含む)する事業者や、古物市場の主宰者、インターネット上の競りをあっせんする事業者が「古物商」に当たります。
法人で許可が必要になる典型例としては以下の通りです。
- 店舗やECで中古品を仕入れて再販する
- 預かり販売(委託販売)を行う
- オークションサイト等での競りあっせんを行う
社員が自分の私物を処分するだけなら通常は不要ですが、転売目的で仕入れて販売するなら法人としての許可が必要です。
「半年で失効」ではなく“取消しの可能性”——古物営業法6条のポイント
古物営業法第6条は、許可を受けてから6か月以内に営業を開始しない、または引き続き6か月以上休止して、現に営業していない場合に、公安委員会が許可を取り消すことができると定めています。
すなわち、自動で消える制度ではなく、状況に応じた判断(行政処分)の結果として取消しが行われ得る、という構造です。
取消しは「処分」ですから、通常は事前に弁明や意見聴取の機会が設けられます。
また、所在不明が続く場合には公告等による簡易取消しの仕組みもあります。
重要なのは、“営業の実態がゼロの状態を放置しない”ことです。
どんなときに取消しになりやすい?——具体例で理解する
許可後6か月以内に営業を開始していない
例:店舗工事が長引き、開店日が決まらない。ネット出店の準備が整わず、受付や査定も開始していない。
— このように買受・交換・委託受け等の実際の営業行為が一度もない状態が続くと、取消しの検討対象となります。
6か月以上の休止が継続している
例:人員不足や方針転換で仕入れ・販売を止めている。営業所移転のため一時閉店してから半年以上再開できていない。
— 休止が続き現に営業していない場合は、同様に取消しの対象になり得ます。
所在不明・連絡不能の状態が続く(簡易取消し)
例:営業所が閉鎖され、郵便も届かず、電話・メールにも応答がない。
— 公安委員会が公告を経たうえで取消しを行うことがあるため、連絡が取れる状態を常に維持することが大切です。
補足:上記以外にも、欠格事由の発覚、重大な法令違反、処分違反の累積等でも取消しの可能性がありますが、本コラムでは「営業なし・長期休止」を中心に解説しています。
取消しを避けるための実務対策——“営業を始めた事実”を可視化する
1. 許可取得から早期に「営業開始の証跡」を残す
買受・交換・委託受けの記録(契約書、見積書、査定受付票、電磁的帳簿)、買取台帳・払出帳の記載、開店・受付開始日の社内記録、営業日・営業時間の掲示など、客観的に営業開始が分かる資料を残しましょう。広告やホームページの公開だけでは営業と認められない場合があります。まずは小規模でもよいので正規の手続きで1件の受入れ(または委託受け)を行い、帳簿に適切に記載しておくのが安全です。
2. 事情があるときは、所轄へ早めに相談し、計画を提示
災害・工事遅延・体調不良・許認可待ち等のやむを得ない事情がある場合は、再開予定日や代替措置を書面で説明しておきましょう。処分基準では、帰責性が低く、速やかな是正・回復が見込まれるときは取消しを猶予する運用が示されることがあります。やむを得ない根拠資料(工事工程表・医師の診断書等)を添えて、時期を区切った再開計画を伝えるのがコツです。
3. 連絡途絶・所在不明に陥らない
移転・代表者や管理者の変更、商号・URLの変更など届出対象の変更は期日内に必ず提出し、郵便・電話・メールが確実に届く環境を保ちます。郵便が戻る、電話が不通といった状態が続くと、簡易取消しの手続に乗るおそれがあります。
4. 休止が長引くなら、計画的に“最低限の運用”を維持
やむなく休止する場合も、帳簿・標識・防犯体制の維持、顧客問い合わせへの対応、再開準備(在庫・委託品の適正管理)など、営業主体としての実体を保ちましょう。再開時には、初回の受入れ・払出しを適正に記録して“再始動”を明確にします。
早見表:主な取消しの入口と、回避の一手
| 入口となる状態 | ありがちなシナリオ | 回避・緩和のポイント |
|---|---|---|
| 許可後6か月未着手 | 開店延期、受入れ・委託受付ゼロ | 小規模でも早期に1件の受入れ(または委託受け)を行い、帳簿記載・契約書等で証跡化。進捗が遅れるときは理由書+再開計画を所轄へ相談 |
| 6か月以上の休止 | 人員不足・移転で半年以上無稼働 | 再開時期を明確化し、在庫・委託品の管理継続。中間報告を行い是正見込みを示す |
| 所在不明・連絡不能 | 郵便不達、電話不通、HP閉鎖 | 変更届の徹底、郵便受取体制の維持、連絡可能な窓口を複線化 |
よくある質問
Q. 「営業開始」とは、必ず売買(代金の授受)まで必要ですか?
A. 法令は「営業開始」の具体例を列挙していませんが、概ね買受・交換・委託受け等の古物営業そのものの行為が確認できることが望ましいと考えられます。見込み客への広告のみでは足りないことがあるため、実際の手続に基づく受入れを1件でも作るのが安全です。
Q. 休止が避けられません。取消しを確実に避ける方法は?
A. 絶対の保証はありませんが、やむを得ない事情の疎明と再開計画の提示、帳簿・在庫管理の継続で、処分判断が緩和される余地があります。早めに所轄へ相談してください。
まとめ——“ゼロ状態を作らない・放置しない”が最大の防御
「取得から半年で自動失効」は誤解です。ただし、6か月未着手・6か月以上の休止が続くと許可取消しの対象になり得ます。
早期の営業開始と、やむを得ない事情がある場合の理由書+再開計画、そして変更届の徹底が最大の予防策です。
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