ネット販売やライブ配信で古物を扱うとき、許可の可否を分けるのは「実在性の説明」と「非対面の本人確認の設計」です。
このコラムは、写真と図面の作り方、サイト表示の統一、本人確認フロー、台帳運用、申請から許可までの段取りを、初めての方にもわかる言葉で丁寧にまとめました。日々の運用と審査視点を同時に満たすコツを押さえれば、開業後のトラブルも減らせます。
実在性の立証:事務所・保管場所・設備写真
実在性を示すには、事務所として継続的に業務ができる体制を写真と図面で説明します。
外観・入口・郵便受け・社名表示・室内の机・電話・PC・書庫・保管棚・来客スペースを定点で撮影し、それぞれ図面の位置番号と対応させると理解が早まります。
住居兼用の場合は生活空間と業務空間の分離、保管棚の施錠、来客導線の安全性を文章で補足します。賃貸物件では契約書の使用目的欄や規約を確認し、荷物の保管・発送に支障がないかを先に解決しておくと、指摘が減ります。EC中心でも、返品や一時保管のスペースを確保し、温湿度や防虫・防犯の配慮があると実務に即した説明になります。
図面の縮尺・方位・寸法/写真との位置対応
図面は縮尺・方位・寸法・棚のサイズ・施錠の有無・動線を明記し、写真番号と相互参照できる凡例を付けます。搬入経路や配送用のスペース、避難経路も図示すると、日常運用と安全性が伝わります。電源や通信回線の位置、火災報知器や消火器の設置も、設備一覧に落とし込むと良いでしょう。表記ゆれ(ビル名・室号・ハイフン等)は、履歴事項証明の記載に統一し、標識・サイト・名刺・申請書の表現をすべて一致させるのが補正防止の基本です。
非対面の本人確認フロー
オンライン買取や委託での受領では、犯罪収益移転防止の観点から確実な本人確認が求められます。
単一の方法では弱い場面があるため、複数手段の組み合わせで信頼性を高めます。免許証の画像送付に加え、登録口座への少額振込による照合、本人限定受取郵便の活用、ビデオ通話での対面確認などを、品目やリスクに応じて選択すると運用が安定します。取得したデータの保存年限、アクセス権限、廃棄手順をマニュアル化し、台帳番号と紐づける命名規則を決めておくと、監査時の説明が容易です。
免許証画像+少額振込照合/本人限定受取の組み合わせ
画像は四隅が入るよう鮮明に撮影し、加工やマスキングの方針を明確にします。少額振込は口座名義と申込者情報の一致を確認でき、二要素目として有効です。本人限定受取は、配送住所と本人確認を同時に満たせますが、受領までに日数がかかるため、工程表で余裕を見ます。ビデオ通話は通信環境に左右されるため、再実施時のルールや本人確認質問の定型を用意しておくと良いでしょう。
取扱区分と台帳運用
区分は実際に扱う品目に絞って選びます。
広げすぎると在庫や真贋判定の運用が追いつかず、監査時の説明が難しくなります。
台帳は紙・電子を問わず、相手方の氏名・住所・確認資料・番号・品目・数量・特徴・取引方法を漏れなく記録し、画像・振込記録と相互参照できる構成にします。返品・クレーム・警察照会への対応履歴も同じ系統で保存しておくと、トラブル時の対応が迅速です。
区分選定の実務・台帳テンプレ・真贋判定の記録化
区分を見直す際は、売上構成や在庫回転、真贋判定の難易度、保管スペースを総合して判断します。台帳テンプレには、真贋判定の根拠(鑑定書・照合ポイント)や外部委託先の情報を残します。ライブ配信販売では、同時接続数が多く記録が漏れがちなので、配信ログと台帳の突合方法を先に決めておくと安心です。
標識・サイト表示・規約遵守
標識は見やすい位置に掲示し、番号・公安委員会名・名義人・区分が鮮明であることを写真で示します。サイト表示は事業者情報・返品規約・特商法表記・未成年取引の扱いなどを最新化し、モール規約の要請(禁止出品・真贋対応・返品)と矛盾がないよう統一します。SNSや広告でも表記を一本化すると、信頼感が高まります。
申請から許可までのタイムライン
事前相談→申請→審査→補正対応→許可→標識掲示→運用開始の順で進みます。写真・図面・表記統一が早期に固まっていれば、補正は最小化できます。許可後は、台帳と本人確認の運用をすぐに回せる状態にしておくと、初日から安定します。
事前相談→提出→補正対応→許可の段取り
申請書の草案と写真・図面を持参し、疑義が予想される箇所(住居兼用、倉庫の共同利用、サイト表示など)を先に説明します。指摘はその場でメモし、差替履歴とページ番号を明示した改訂版を迅速に提出すると、再確認がスムーズです。
| 本人確認手段 | 強み | 留意点 |
| 免許証画像+顔写真 | 手軽で一次確認に有効 | 画像鮮明度・改ざん対策が必要 |
| 少額振込照合 | 名義一致を金融機関経由で確認 | 反映に時間。口座未開設者は不可 |
| 本人限定受取郵便 | 住所・本人を同時確認 | 配達日数がかかる。再配達の管理 |
| ビデオ通話 | 現場確認や質疑が可能 | 通信品質に左右。記録化の仕組みが必要 |
まとめ/ご相談のご案内
結論ポイント
- 実在性は写真と図面の位置対応で説明。表記は履歴事項に統一。
- 非対面の本人確認は複数手段を組み合わせ、台帳と相互参照。
- 事前相談で疑義を先消しし、差替履歴を明示して迅速に補正。
- 区分は実態に合わせて絞り、真贋記録と返品ルールを文書化。
このコラムが、ネット販売で古物商許可を確実に取得・運用するための要点整理に役立てば幸いです。アクシスサポート行政書士事務所では、写真・図面の指示、サイト表示の整備、本人確認フローと台帳テンプレの設計、申請書作成から補正対応まで一括で伴走します。まずはお気軽にご相談ください。
